仕事の問題地図(沢渡あまね)

はじめに~どうして仕事が進まない、終わらない?

「日々の仕事、どうせやるなら予定どおり終えたいし、成功させたい」

自分の仕事を全うしたい―だれもがす考えるでしょう。

私たち日本人は元来、几帳面で真面目な国民です。よほどの天邪鬼でない限り、あるいは競合他社から送り込まれたスパイでもない限り、期限までに仕事を終えるようがんばります。

コツコツ進めようとします。にも関わらず……

「なぜか、仕事が予定どおりにおわらない!」

こんな叫び、行く職場、行く職場で必ず耳にします。

いや、予定どおりに終わらないくらいならまだマシかもしれません。

「手つかずのまま、時が流れてしまった……」

こんな、夏休み最終日の小学生さながらの光景も見かけます。以下は、私の過去の勤務先やクライアント先でよく聞いていた、ため息センテンスです。

    1. 計画通り終わったためしがない
    2. というより、計画を立てる人がいない
    3. 「いつかやらなくちゃ」とは思っていて、期限を過ぎてしまった……
    4. 計画やルールを決めても、定着しない、続かない
    5. 「横入り」(突発の依頼)が多くて、どうにもならない
    6. 「し忘れ」「やり漏れ」が常態化
    7. 「計画どおりに終わらないのが当たり前」と、みんな諦めてしまっている
    8. 一部のできる人頼み
    9. そもそも、最初から終わる気がしない
    10. いままで勘と気合で何とかなってきたから、計画なんでたてない

なんで猛者(?)も。

一人でやる作業レベルの仕事から、5人、10人、あるいは20人以上で取り組むプロジェクトレベルのチームワークまで、規模の大小に関わらず、嘆きの声があちこちで発せられています。

いったいなぜ、私たちの仕事はなかなかうまく進まないのでしょうか?最後まで走りきれないのでしょうか?

そのには、無視できない2つの大前提があります。

①仕事は生き物である

仕事は常に変更します。その仕事への要求事項、前提条件、環境、取り巻く人々との関係性などは、時間の経過とともに変わります。期間が長ければ長いほど(あるいは、手つかず常態で放置すればするほど、)変わるリスクは大きいといえるでしょう。仕事は生き物です。

②私たちもまた生き物である

そして、仕事をする私たちまた生き物です。最近では、AI(人工知能)が進化し、人の仕事を代替するかもしれないなどと騒がれていますが、そのに到達するにはもう何年かかるでしょう。また、AIを操るのも、結局は私たち人間です。しばらく、人前提でものごとを考える必要があります。

人をやっている以上、完璧はありません。たとえば、「し忘れ」「やり漏れ」は、なかなかなくならないですね。忘れでいなくても、目先の仕事に追われて、重要仕事なのに、ついつい後回しにしてしまうこともあるでしょう。

それはなぜか?

「だって、人間だもの」

仕事はなかなかうまくいかないのは、仕事そのものが、そして仕事をする私たちも、生き物だからです。

そんなことを言うと、たまに厳しいお叱りを受けます。

「はぁ?生き物だから?人間もの?何を呑気なことを言っているんだ!」

お気持ちはごもっとも。しかし、前途の現場の嘆きの声をもう一度思い出してみてください。

    • 「いつかやらなくなきゃ」と思っていて、期限を過ぎてしまった。。。。。
    • 計画やルールを決めても、定着しない、続かない
    • そもそも最初から終わる気がしない
    • いままで勘と気合で何とかなってきたから、計画なんで立てない

どれもこれも、人間の意識や気持ちの部分が大きく影響しているものばかり。正論や「べき論」をふりかざしても、どうにもなりません。キレイごとだけの対策を並べ立ててもダメなのです。